研究内容

天体の画像を読む。地上で物質を測る。まだ見えない月の表層を、計測とモデルで理解する。宮本研究室では、探査データ・実験・数値計算を組み合わせ、惑星科学から宇宙資源の利用へと研究を進めています。

LDAの月面計測構想(CG)。2026年のLDA発表資料より。
LDAの月面計測構想(CG)。2026年のLDA発表資料より。

月の砂の性質を測る:LDA

LDA(Lunar Dielectric Analyzer)は、月の表層を覆う砂や岩片「レゴリス」の誘電特性を調べる計測器です。センサーを地面に接触させ、電磁波に対する物質の応答から、その状態を読み解くことを目指しています。

誘電特性は、鉱物の組成、粒子の詰まり方、温度、氷の有無などの影響を受けます。測定値を一つの原因に結びつけるのではなく、模擬試料の実験や熱の伝わり方の計算を組み合わせて、可能な解釈を絞り込みます。着陸機の影に伴う温度変化を利用した繰り返し観測も検討しています。

模擬土壌を使ったLDA関連の試験装置。2026年5月のSX拠点紹介資料より。© 東京大学
模擬土壌を使ったLDA関連の試験装置。2026年5月のSX拠点紹介資料より。© 東京大学

計測・実験・モデルをつなぐ

  • 地表に接触させる共振器とアンテナによる計測手法の検討。
  • 組成・密度・温度を変えた試料の室内測定。
  • 表層の加熱・冷却を計算し、現地観測を解釈するための準備。

LDA選定時の東京大学発表(2024年) ↗

天体の物質を、地上で再現する

月、火星、フォボスなどの表層を模した土壌「シミュラント」を用い、探査機器や資源利用の実験を行います。天体ごとの組成や粒子の特徴に加え、どの性質を再現すれば実験の問いに答えられるかを考えることが重要です。

室内計測に用いる斜長岩・玄武岩・イルメナイトの粉末試料。2026年のLDA発表資料より。
室内計測に用いる斜長岩・玄武岩・イルメナイトの粉末試料。2026年のLDA発表資料より。

LDAを支える研究では、斜長岩、玄武岩、イルメナイトなどの試料を用いて誘電特性を比較しています。実験の条件を管理しながら、組成や密度が観測にどう表れるかを調べます。

探査画像から、天体の歴史を読み解く

月・小惑星・火星衛星の画像に見えるクレーター、岩塊、溝などの地形を調べます。形や大きさ、空間的な分布を手がかりに、衝突や粒子の移動、表層の変化の過程を考えます。

画像解析や機械学習による特徴の抽出も研究・教育の題材です。自動で得られた結果を地質学的に読み直し、検出の得意・不得意を確かめることまで含めて、探査データを扱います。

地下探査から、資源利用と社会へ

電波サウンダーや地下探査レーダーなど、表面からは見えない構造を調べる技術にも取り組みます。科学と工学の成果を、資源利用の可能性、人材育成、社会との対話につなげ、CSRIや国内外の研究機関との連携を進めています。

研究資料・関連成果